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奇跡の海のプレコップのネタバレレビュー・内容・結末

奇跡の海(1996年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

今作の主題は本当に「殉愛」?

「黄金の心」3部作の1作目、だけあってパッと見はベスの純粋さや無垢な心、まっすぐ愛を全うする様子を描いている。だが、それらはほんの一部に過ぎず、それより大きなベスの愛への依存、罪な純粋さ、神の冒涜を見せてくる。ヤンの願望は寝取られ嗜好にしか見えないし、これは本当に黄金の心を描いているのか?

キリスト教、教会への批判の強い今作は、ラストの解釈が難しく、あの鐘は皮肉か、祝福なのか汲み取りにくい。これがトリアー監督作であることを考えると前者だけど、文脈的には後者な気がする。個人的には石を投げつけられ、虐げられるのはイエスキリストに重なり、キリストと同じように彼女が神の国に入る祝福の鐘としての演出であると考えたい。

ずっと寒々しいスコットランドロケの画面作りは大成功していて、田舎の閉塞感や長老のクソったれぶりがよくできている。救いのない内容ではあるけど、「キングダム」とは違って今作の病院の描き方には少しの希望を見出せる。
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