ロンビュー

奇跡の海のロンビューのレビュー・感想・評価

奇跡の海(1996年製作の映画)
3.2
黄金の心はここから始まった

ラース・フォン・トリアーの黄金の心三部作の1作目である『奇跡の海』抜群の選曲で区切りを彩りつつ、愛と教会の新しい視点を与えてくれました。

この映画では教会の信仰心を遵守するという姿勢が主人公の愛ゆえの行為の妨げになりました。これにより、教会はこの映画において悪役的な立ち位置になりました。つまり、教会批判を含んだ内容の物語になっています。

一見すると最近の邦画である『アナログ』などと似た部類の内容ではありますが、この監督の手にかかればえぐみが出て狂気の先に綺麗な黄金の心というより実際に鐘が見えます

ベスがヤンを愛することとヤンがベスを愛する気持ちがイコールになったことがわかるタイミングはシーンとしては哀しみがありながらも心打たれていました。

全てを求めながら何も要らないという矛盾を含んだものがこの狂気じみた愛を美しく思わせたんだと思いました。
ロンビュー

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