aaaakiko

怪談のaaaakikoのレビュー・感想・評価

怪談(2007年製作の映画)
4.0
この頃の黒木瞳は素晴らしいなという一言。
まだ冒頭のあたりの、唄のお師匠の中年の色気、「やっぱりもらっとこうかね」なんてセリフ、色気にあふれ恥じらいと危うさ。素敵すぎてドキドキした。

もともとこれは井上真央目当てで見てDVDも所持しているんですけど、昔見たときは、尾上菊之助の顔が怖い、としか思わなかった。
でも15年ぶりぐらいに見返してみて、黒木瞳の素晴らしさに感動してしまいました。冒頭は中年の色気、そしてすぐに彼女は、人を愛することの苦しみを見せて人間的には退行していくんだけど、そこが本当良かった。好きですね。
結局恋愛って、きついものじゃないですか。ラブラブハッピーなんて嘘だよ。苦しくて切なくて、殺してやりたくて、とにかく苦しい。
死体になっても見張ってやりたい。遺体の身体拭いて着替えさせるシーンとか日本的すぎて美しい。またその黒木瞳の裸の背中が細くて色っぽくて怖いんだ。

中年の色気と愛と怨念の黒木瞳、それの対極に位置するのがお久(井上真央)。
この頃の真央はまだ子役あがりの面影があり、ふっくらしていて幼い。色気には程遠い。でも新吉を愛することで因縁に引っ張られていく。雨の中怯える真央。
「どうしてそんな、きれいな顔に生まれたの」というセリフは真央のセリフだったんだな。黒木瞳だと思ってた。
もしくは2人共通の思いだったからか。

で、その尾上菊之助のきれいな顔。
彼は女形だからきれいなのは当たり前だけど、ちょっと現実離れした顔だよな…だいたい、なんか演技は微妙だし無表情すぎない?と昔は思ったけど、改めて見るとそれが良いんですね。所作はやはり美しいし。
結局は、新吉をめぐっていろんな女が出てきては死んでいくんですが、その中心となる「新吉」。それはやはりあのぐらいの次元の違う美顔でなくてはダメなんでしょう。

ラストシーンは、ディオの首を持つジョナサン・ジョースターを思い出してしまいましたが、因縁という点では間違ってはいないです。因縁を愛と言い換えても良いですが。
日本の「怪談」は良いですね、とりわけこういう怨念、祟りみたいな話は好きです。だって祟りたい気持ちはわからないでもないし。勝手に恨まれて祟られる方は嫌ですけど。
川井憲次の音楽も良かったあ〜。
aaaakiko

aaaakiko