イチロヲ

イルカの日のイチロヲのレビュー・感想・評価

イルカの日(1973年製作の映画)
3.5
人語を理解することができる頭脳明晰なイルカを研究している学者が、イルカを軍事目的で利用しようとする体制側に対して反旗を翻す。イルカ研究者の立場から反戦を訴えている、アメリカン・ニューシネマ。

50~60年代にかけて、イルカと人間のコミュニケーションを研究した実在の人物・リリー博士がモデル。中身はコテコテのサスペンス・スリラーであり、学者とその同志たちが全方位から圧力を掛けられてしまい、四面楚歌の状態に陥る。

本物のイルカを起用した映像世界は、後にアカデミー撮影賞に5度ノミネートされることになる、撮影監督ウィリアム・A・フレイカーの手腕によるもの。きちんと演者の仕事をこなしているイルカたちには、感嘆の声が出そうになる。

ベトナム戦争をバックボーンにしながら、アメリカ人の新たな人格形成と意識革命を説いていく、純然たる反戦映画。なお、軍用イルカは湾岸戦争とイラク戦争で実戦投入されたが、機雷で自爆させていたという証拠はないらしい。
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