うちみ

息子のうちみのネタバレレビュー・内容・結末

息子(1991年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

 BSテレ東でなんとなく見かけたのですが、すぐに目を離せなくなりました。昭和28年の映画『東京物語』の平成初期版という感じ。

 ときどき映る東京都庁がとても印象的。ちょうど西新宿に移転したばかりだったんでしょうね。公開当時の東京や、静岡熱海の街並みを記録した映像作品としても楽しめました。私は地方育ちで当時6歳ほど。東京なんてまったく知らないのに、心地のいいなつかしさを強く感じました。

 三國連太郎さん(父親役)の老け役ぶりがすごい。当時ももうおじいさんだったと思いますが。老けの演技というんでしょうか、とても魅力的でした。頑固だけどちょっとコミカルでかわいい。背中(後ろ姿)が渋くてめちゃくちゃカッコいい。田中邦衛さんも面白いキャラクターでした。こういうおっさんいたよな〜。

 そして、永瀬正敏さん(次男役)のまっすぐでひたむきな姿。当時は若くて、役柄もそういう性格だったんだろうけど、あんなにまっすぐな演技を見せてくれて。若いころからほんとうにすばらしい役者でいらっしゃるんだと改めて好きになりました。

 父親が「いつまで俺に迷惑かけるんだ」って次男に言うんですが、話が進むにつれて、その意味合いが変わっていきます。その過程に胸がじわっと熱くなりました。

 いつの時代にも「最近の若者はよ…」って言う人はいるけど。それを一番キツく言われてきた世代って、1990年代前半に20〜30歳代だった人たちなのかな。
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