このレビューはネタバレを含みます
本作品は序盤はうだつの上がらない永瀬正敏さん(役名テツオ)の話。母の一周忌にハデなシャツで遅刻して登場する姿はうだつの上がらなさを象徴するシーンであった。
ただテツオは東京の街で仕事をころころ変えながらも、恋をしたあとしっかり芯をもって生活しているという役柄で、芯を持っているというところを父親が気づくまでをしっかり描いている。うだつの上がらない→恋→瞬時に成長→父親がテツオを認める、というテツオの成長ストーリーがこの映画の醍醐味だろう。
ただこの映画はそういうところだけでなく、1992年当初の田舎と都会の狭間で生きる家族の在り方を視聴者になげかけている。
カメラ構図としてはアイレベルより下が多く、ほとんど俯瞰の構図はでてこない。1992年当初はカメラも重厚感があり、機動性にかけることは容易に想像できる。
エンディングシーン、お父さんによる「1人での家族の団欒」という表現をしたかったのか、明かりのついた岩手の家を撮影している。視聴者は感じるものがあったのではなかろうか。
それにしても三國連太郎さんは佐藤浩一さんと顔が似てきている。佐藤浩一さんが三國連太郎さんによってきているのかな、と思う。