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息子のmarnimのネタバレレビュー・内容・結末

息子(1991年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

第15回日本アカデミー賞受賞作品。
岩手の山奥に一人暮らす昭男(三國連太郎)が、長男夫婦の所に上京するシーンは、小津安二郎の「東京物語」を思い起こさせる。
やはり、田舎からオヤジが来るというのは、何とも大変で気を遣うものだ。
それでも長男の嫁の原田美枝子は、甲斐甲斐しく振る舞っており、とてもできた嫁である。
しかし、田舎を引き払って東京で一緒に暮らそうなんて、理想としては素晴らしいが、それはなんぼ何でも無理だろう。
昭男も一緒に暮らそうと言われたものの、こんな窮屈な暮らしだったら、一人で暮らした方が全然マシと感じてるようであり、何より長男夫婦の世話になるのは勘弁ということなのだろう。

一方、次男の哲夫(永瀬正敏)の方だが、職を転々と変えるだらしない性格だが、征子(和久井映見)に一目惚れしてから、仕事に対する情熱が湧いてくる。
確かに一目惚れしてしまうのも納得する征子の美しさ。
ろうあ者と聞きショックを受けた哲夫だったが、逆にオレが彼女を守っていくという気持ちになったのではないか。

頭痛の種だった哲夫が、美人で素敵な娘さんと結婚をすると聞き、何ともうれしそうな昭男がとても印象的で、三人での買物のシーンは幸福に包まれているようであった。

ラストは意外に呆気ない終わり方であったが、逆にじわじわと心が温かくなるような、そんな余韻を味わえた。

俳優陣に言及すれば、主演の三國連太郎は流石であり、和久井映見の可憐な美しさには心を奪われた。
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