荒川自転車乃介

兵隊やくざの荒川自転車乃介のレビュー・感想・評価

兵隊やくざ(1965年製作の映画)
4.5
ストーリーもよくできているが、どちらかと言えば、主人公の勝新太郎が演じる大宮貴三郎のキャラクター造形の勝利だろう。
ヤクザが、ガチガチの縦社会で理不尽な組織である日本陸軍に入ってくる。当然、揉め事が起こるが、田宮高廣演じる理知的な上官が庇い、絆が生まれる。この二人のキャラクターが惹きつける。
最近の韓国映画を見ていて、マ・ドンソクのような、顔は良くないが、肉体派で面白い演技ができる役者が日本にもいたらいいのにと思うことが多かった。しかし、日本にもかつてはそういう役者がいたのだなと勝新太郎を見て思った。晩年の勝新太郎しか知らなかったが、この映画では本当に良い演技をしている。田宮高廣の芝居も素晴らしい。
多くの人に見てもらいたい、胸のすくような映画である。