ちろる

プロヴァンス物語 マルセルの夏のちろるのレビュー・感想・評価

4.2
フランスの小説家マルセル パニョルの少年時代の回想録を基にして作られた「プロヴァンス物語マルセルの夏」はマネやモネの絵画みたいな100年以上前のフランスを舞台にした映像が美しかった。
最初の方の登場人物の説明的映像は少々長いが、それらのシーン通過すればマルセルの家族たちの体験するプロヴァンスの丘の上では、匂い立つような夏休みの世界が始まる。
丘で出会った親友と駆け回る自然と、威厳ある父を思う息子心と包み込む母の愛。
一つ一つのエピソードはそれぞれ途切れ途切れであっても、なんだかフランス版サザエさんのような雰囲気で楽しい。
誰も傷つかない、平和で温かいユートピアみたいな世界。

夏休みとか春休みとかもう久しく意識したことはない私でさえ。夏祭りも花火も終わるこの時期はなんだか虚しくなるのだから、
まだ幼いマルセルにとって初めて過ごすプロヴァンスの丘での夏休みは永遠にしておきたいほどの宝物のようなキラキラした日々だったのに、大人たちにとってはただの休暇のひとつに過ぎないという事へのショックな思いはなんだか分かる。
多分子ども時代を、経験した誰もが一度は同じ気持ちになったことあるんじゃないかと思う。
そんなマルセルの夏が愛おしい物語でした。
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