ヒガシオオヤマトネコ

アクロス・ザ・ユニバースのヒガシオオヤマトネコのレビュー・感想・評価

アクロス・ザ・ユニバース(2007年製作の映画)
3.8
全曲ビートルズの原曲を用いたミュージカル映画。渡米したジュードとそこで出会ったルーシーのラブストーリーを70年代アメリカの社会問題とともに描いている。

世界観と音楽性を全面的に投影させた内容となっており、それを重視し要素を詰め込みすぎたストーリーの流れに目を瞑ればかなり美しい作品。

ラブストーリーなのでビートルズ前期の曲が多いのではと思ったが、反戦運動や平和活動の場面に絡めて後期の曲も出て来て、満遍なく楽曲が出て来た印象。
要所要所に楽曲として出てこなかった小ネタがあり、少し捻りを効かせた要素があり楽しめた。

ベトナム戦争への反戦はビートルズ解散後に激化し、それこそジョン・レノンとオノ・ヨーコのラブ・アンド・ピースや映画物だとCCRがよく使われていた印象だったが、I Want Youなど面白い演出が自分の知らない新しい一面のように感じた。
後期のサイケデリックというか当時の新鋭的なサウンドが、音楽を娯楽から芸術やメッセージ性のある分野へと昇華させた転換点となっているのがとても分かりやすかった