わさび

ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路のわさびのレビュー・感想・評価

2.5
あのモーツァルトには実は姉が居て、子供の頃は同じようにその才能を持て囃されたが、女性が作曲をする事が良しとされなかった時代のこと、長じるにつれて弟との境遇の差が開いていってしまう……というお話。

人によっては先刻ご承知のお話なのかもしれませんが、わたしは彼女・ナンネルの存在をこの映画で初めて知りました。この題材は興味深い、と思いいそいそと鑑賞。
ところが。
主役の女の子が下手すぎて、気絶するかと思いました。
彼女の親友を演じた女の子もこれまた下手っぴで、重ねて気絶するかと思いました。
調べてみたら、どちらも本作の監督のお嬢さんだそうで……なんだその安易なキャスティングは! 家内制手工業か!

いや、そのナンネルを演じたマリー・フェレさんの、気品がありながらも時折アンニュイな表情が見え隠れするお顔立ちとか、まさにこの時代の絵画に描かれていそうな、色白で丸みがあって柔らかな質感を持つ容姿なんかは、凄く良いと思うのです。が、如何せん台詞が棒読みで、表情にも乏しくて。これは戴けません。

ではお話は良かったのかというと、これまた些か冗長で退屈。
そして肝心の、女性差別の根強かった時代にその才能を活かせずにいた少女の苦悩や、彼女の音楽への情熱が、画面からちっとも伝わって来ません。
上手く起伏をつけられなかった脚本とミスキャスト、これが本作の敗因でしょう(勝手に敗けた事にしてごめんなさい)。
但し、美術や衣裳は美しくて好かったです。幼いモーツァルトを演じた俳優さんのヴァイオリンの腕前も、素晴らしいものでした。
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