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灼熱の魂のSQURのレビュー・感想・評価

灼熱の魂(2010年製作の映画)
4.0
映画を観ている最中にふと「でもこれは演技でこの人たちは役者なんだ」と考えてしまうことがよくあるが、この映画はそう思おうとしても思えないほど説得力があった。
しかし、その圧倒的な実在感の先に行き着くのはあまりにでもできすぎた奇跡。この荒唐無稽と言ってもいいほどの結末をどのように受け止めればいいのか正直よく分からない。
とにかく過去に起こったことはもう変えようがないのだということ。母の手紙では、過去に新たな意味付けをしようとするものであったが、とてもそれが成功したとは思えない。
母の死から探索までの流れは一連の連続した時間の流れで描かれる一方で、過去は断続した時間の断片として描かれる。その一つ一つが暗い海に沈んでいく錨のようだった。
母の死、その顔、その姿は物語の導入部分でそっと写し込まれるが、物語が進みその姿の意味がわかるにつれ記憶の中の姿はむしろ鮮明になっていく。
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