サマータイムブルース

灼熱の魂のサマータイムブルースのレビュー・感想・評価

灼熱の魂(2010年製作の映画)
4.3
オープニングから心を鷲掴みにされました

オープニングのシーン・・・
子供たちが廃墟と化したビルの中で、銃を構えた男たちに囲まれて、頭を丸刈りにされています
その中のひとり、踵に3連ドットの印がある、ちょうど頭を刈られている男の子の顔がアップで映し出されます
彼の鋭い眼差し、感情を押し殺したような表情にゾクッとします
そして、レディオヘッドの「You and Whose Army」がメランコリックに響き渡ります🎶

もちろんその段階でそれが何のシーンなのか、男の子が誰なのか、3連ドットは何の印なのか、私たちには知る由もないのですが、それは、後程、明らかになって来ます

初め、会話が仏語なのに違和感を感じていました
カナダの公用語って、英語と仏語のふたつあるのね
そして、主な舞台となるレバノンの公用語はアラビア語
だけど、仏語や英語も使われてるらしい
単一言語の日本人からすると、なかなか理解しづらいかも
一時期レバノンがフランス政府の統治下にあったとか影響あるみたい

レバノン内戦がドラマの背景にあって、そこを理解しとくと、より、理解が深まるかと思います
ただ、そこがメインではないので、私みたいに世界史に詳しくなくても、大丈夫です

一応、チラッとググったところによると、
レバノン国内のキリスト教徒と,イスラム教徒・パレスチナ人の連合勢力との間で長期間続いて来た内戦・・・
いわゆる宗教戦争、てな感じです

映画は、双子、ナワル、ダレシュ、南部、デレッサ、クファリアット、歌う女、サルワン・ジャナーン、ニハド、シャムセディンと、10のチャプターに分かれています
それぞれのタイトルに重要な意味があります

簡単なあらすじ
亡くなった母、ナワル・マルワン (ルブナ・アザバルさん)の遺言に従って、行方不明の父と、今までその存在を知らなかった兄を、彼女の双子の子供たち、姉ジャンヌ・マルワン ( メリッサ・デゾルモー=プーランさん)、弟シモン・マルワン (マクシム・ゴーデットさん)が、彼らを探し、母から授かった手紙を渡す旅に出るロードムービー?

キーワードとなる「1+1=1」の意味は?
前振りで数学者が出て来て、訳のわからない数式とか出題するシーンとかあって、演出がうまいなと感じました
ミステリー要素もあります
背景のレバノン内戦が物語に厚みを増しています

脚本が素晴らしい
姉弟が運命に翻弄されていく様を見ていると、見ている方もやるせない気持ちになって来ます
コレはしばらく尾を引きそうです

とりあえず姉弟が、見たところ何の障害もなさそうなのは良かった