フラハティ

火の馬のフラハティのレビュー・感想・評価

火の馬(1964年製作の映画)
3.5
雪原が赤く染まる。


パラジャーノフ初の長編作品。
絵画のごとき画造りと、観客誰もを驚愕させる演出には舌を巻く。
本作は学生時代からずっと観たかった作品のひとつ。
観ることがほぼ不可能だったため、伝説の映画たちのひとつでもあった。
観ることができるという興奮は今でも忘れることはできない。ありがとう、アップリンククラウド!(去年だっけ?)
初鑑賞にてパラジャーノフが語り継がれる要因を文字通り“目で感じる”ことができた。


ストーリーは純愛映画とも呼ばれているように、非常にシンプル。
一途な愛と言えば聞こえはいいが、永遠に囚われてしまう呪いのようにも思えてならない。
タルコフスキーとも親交があったため、本作は何となくタルコフスキー作品に影響を与えたと感じられる。
もう少し哲学的な要素などがあればとてつもないフェイバリットムービーになっていただろう。
そうなんだよ。なんかもの足りん。もう少し難解さがほしい…。
だから本作は、ストーリーは少し脇に置いた映像としての評価の比率の方が高い。
映像としてはもちろんすごいんだけど、内容が普遍的ではあるので噛み応えが微妙なんだよな。

雪原のなかで光を放つ民族衣裳や、特に映える赤色が本作では特徴的。
かなり演出に関しては凝っていて、どのシーンでもかなり印象的。
冒頭の見下ろすショットから度肝を抜かれる。
言葉で語るにはあまりにも魅力的すぎるし、きっと伝えることができない。
古典作品の映像化とのことで、民族的な文化や風習を描きたいという側面もあったのかもしれないな。
まぁ観れたこと自体に価値があるのでどうでもいい。

いくら過去の女性を愛していたとしても、あれじゃ奥さんかわいそうだよ。
半分死んだ男の人生や如何に。
フラハティ

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