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キラー・エリートのHKのレビュー・感想・評価

キラー・エリート(1975年製作の映画)
3.4
大好きなサム・ペキンパー監督の劇場作品は全部で14本。
個人的にはベスト10でも難なく選べますが、実は本作は私のワースト3の1本。
ステイサム主演の2011年の同名映画とは全く別モノなのでお間違いのないよう。

先日、やはりワースト3の1本『コンボイ』を久々観直したら、他の名作よりは落ちるものの意外やニクめず、ペキンパーファンとしてはむしろ愛すべき一品にも思えてきました。
ポテトさんからお誘いもあり本作も今観たら印象が変わるかもと久々に再鑑賞。

こちらの作品はCIAからも護衛や殺しを請け負う民間の裏稼業組織“コムテグ”のお話。
ジェームズ・カーンとロバート・デュバルはコムテグの腕利きエージェント。つまり殺し屋
この二人が共演した名作と言えば、まず『ゴッドファーザー』ですが、同じくコッポラの『雨の中の女』やアルトマンの『宇宙大征服』などもあります。
始まってしばらくはお得意のスローモーション炸裂で期待も膨らみますが・・・

ペキンパーファンからも概ね低評価の本作ですが、原因はズバリ”忍者”でしょう。
白昼にもかかわらず出るんですよ(←オバケか!)。
日本からの刺客として『007は二度死ぬ』を思わせるダサい忍者集団が。
ボスは丹波哲郎ではなくマコ岩松ですけど。
しかもこの忍者たちウージーあたりで簡単になぎ倒されます。情けない・・・

この銃(アメリカ)と忍者(日本)とクンフー(中国)が入り乱れたスッキリしないアクションが一気にB級感を醸し出し、ペキンパー神話がガラガラと音を立てて崩れていきます。
チ~ン。

しかーし、ペキンパーならではの面白いところもちゃんとあります!
例えばカーンが途中で仲間に加えるのがボー・ホプキンスとバート・ヤング。
頼りね~コイツらすぐ死ぬゾと思っていたら、意外やなかなかの働き。
ホプキンスなんて『ワイルド・バンチ』も『ゲッタウェイ』も同じような役で出てきてすぐ死にますけど今回はだいぶ長く生きてます(←結局死ぬんか!)。
バート・ヤングなんか全出演作品の中で実は本作がイチバンの存在感かも。

やっぱりあらためて観てもツッコミどころ満載・・・でも何故か嫌いになれない。
翌年公開の最高傑作『戦争のはらわた』の準備が忙しく手を抜いてしまったのでしょうか?
ワースト3の残り1本『バイオレント・サタデー』も今度また観直してみよう・・・
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