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キラー・エリートの一人旅のレビュー・感想・評価

キラー・エリート(1975年製作の映画)
3.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
サム・ペキンパー監督作。

仲間に裏切られ重傷を負った男の復讐を描いたアクション。

ロバート・ロスタンドの小説「Monkey in the Middle」をバイオレンスの巨匠:サム・ペキンパーが映像化した監督第11作目で、主演をジェームズ・カーン、宿敵をロバート・デュヴァル、台湾の大物政治家を日系俳優:マコ岩松が力演しています。

サンフランシスコを舞台に、CIAから依頼を受けて活動している民間諜報機関「コムテグ」の構成員である主人公:マイクが、任務中に仲間の一人:ジョージの裏切りに遭い重傷を負うが、入院先での必死のリハビリを経て復活、台湾の大物政治家をアメリカ国外に脱出させる任務を遂行してゆく中で自分を裏切ったジョージ(+α)に復讐を遂げるべく壮絶な闘いへ身を投じてゆく―という“再起からの復讐”を描いたバイオレンスアクションとなっています。

スローモーションの採用等、ペキンパー印のアクション演出が見て取れる作品ではありますが、本作がペキンパー屈指の“珍作”と呼ばれる理由は劇中登場する謎の“忍者軍団”にあります。今どき銃を使わず忍術&格闘だけで突撃してくる時代錯誤な敵軍団で、普通に銃を使う主人公達に近づくことすらできずあっさり撃退されてしまう姿には失笑を禁じ得ません。加えて、クラマックスにおけるアジア系同士の日本刀対決では主人公が完全に“蚊帳の外”となっていて、例えるならボクシングのリングサイドから試合を観戦する観客の一人のような状態に成り下がっています(ここが最大の笑い所)。

不自然な突っ込み所が散見される、バイオレンスの巨匠らしからぬ気の抜けた珍品となっていますが、決着の舞台となる「軍艦の墓場」の壮観&不穏な景観には緊張が走りますし、地味なリハビリから派手なアクションまで真剣に取り組んだジェームズ・カーンの頑張りに拍手を送りたくなります。

蛇足)
ジェイソン・ステイサム、ロバート・デ・ニーロ、クライヴ・オーウェン共演の『キラー・エリート』(11)は原作が異なりますので本作のリメイクではありません。
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