マリちゃん

キラー・エリートのマリちゃんのレビュー・感想・評価

キラー・エリート(1975年製作の映画)
5.0
3.7かも知れないし4.1かも知れないがやはり5.0なのが『キラー・エリート』。
黒沢さんにして「映画における『面白さ』という仮面をぶち壊し以後の映画を常に脅かし続けるドス黒い負の中心」であり「サム・ペキンパーの最高傑作」と言わしめた『キラー・エリート』。この作品が存在したせいで70年代のアメリカ映画は(分かりやすい面白さで安心させてくれる)スピルバーグやルーカスの登場を余儀なくされた、とまで言っている。
青山さんもオールタイムベストテンに挙げていたりするが、決してストレートな傑作ではない怪奇的な一本。
そのタッチは『トカレフ』ですら甘美に感じられるほどの無糖ぶりである。
類縁を挙げるなら、『殺しのダンディー』『拳銃は俺のパスポート』『殺しの烙印』といった作品だろうか(Oh どれもキラー)。
確かに映画が面白さや「納得」にハマっていかない。気持ちよく上昇曲線を描くはずの流れが、スカされる。
「何がどう作用したら(大勢で製作が進む大衆芸術であるはずの映画で)こうなる?」系の作品であり、詰まるところ堪らない。
ペキンパーのファンにも駄作の烙印を捺され、それを聞きかじったソフトな映画好きにまで失敗作として語られてしまっているあたりも、この作品への憐れみが強まる要因なのかもしれない。