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輪舞のzhenli13のレビュー・感想・評価

輪舞(1950年製作の映画)
4.1
構成と作り込みが完璧なコンセプトアルバムみたいな作品。ウェス・アンダーソンあたりも影響受けてそう。

狂言回しによるメタ構造を示す冒頭の長回しとセットが素晴らしい。シークエンスごとに場所が違うのでほとんど違うセット。
椅子やベッドなどの柵ごし、レースカーテンごし、すりガラスの飾り窓ごしなどの「ごし」ショットがどのシークエンスにも必ず入っていて窃視感が出ているほか、つねに取り囲まれている、囚われてる感じ、メタ的な円環構造の内側に囲まれ囚われてて、愛(というより性欲)に囚われてもいるということなのかなと思った。
ラストのジェラール・フィリップとシモーヌ・シニョレのシークエンスだけ「ごし」ショットはジェラール・フィリップが写された鏡ごしショットとなる。これは己れに還ってくること、円環の終わりであることを示しているのかな。この二人にだけ何となく性欲以外のものを感じさせるが、いずれにしても宵の夢とばかりに素敵に終わる。
男が全員クズだが女も大したもの。
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