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ねむの木の詩がきこえるのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

ねむの木の詩がきこえる(1977年製作の映画)
2.5
【溢れんばかりの愛情】
動画版▼
https://m.youtube.com/watch?v=q6meyRrJcOM&t=994s

国立映画アーカイブの特集「日本の女性映画人(2)――1970-1980年代」でずっと観たかった『ねむの木の詩がきこえる』が上映されるということなので足を運んでみた。最近、ニコラ・フィリベールのドキュメンタリーを観ていたので同じようなテイストかと思っていたら、異様な空気が流れる代物であった。

砂丘の中、女性が去っていくと、ソフトフォーカスによる回想のような空間の中「ねむの木学園」の一年を捉えていく。『窓ぎわのトットちゃん』に出てきた電車型の校舎みたいなのがある。先生たちは、障がいを抱えた子どもたちにありったけの愛情を注ぐ。それがもはや狂気のように思えてくる。脳裏に焼きつくコロッケの詩。犬になりきり過剰なスキンシップを取る。挙げ句の果てには舌を言葉が話せない子どもの口に入れ始める。今の時代じゃコンプライアンス的にアウトな程、異常な間合いでスキンシップを撮ってくるのだが、そうでもしないと子どもたちが幸せにならないという強い意志を感じさせられる。それゆえに宗教映画を観ているかのような異質さが本作にはあった。
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