いかえもん

人生はビギナーズのいかえもんのネタバレレビュー・内容・結末

人生はビギナーズ(2010年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

東京コミコンに行くことが決まってからユアンの映画で観てなかったものや、観たけど覚えてないものなんかを観直していた。
この映画もコミコン前に見た映画で、正直どう感想を書いていいやらわからないまま、東京へ旅立つことになったためレビューが今日になってしまった。

70歳を超えて自分はゲイであり、これからは自分の思うように生きたいと告げた癌で余命わずかの父と、幼少期から両親は不仲なのだろうか…と心に思いながらも生きてきた息子のお話。

この息子役がユアンなんだけど、非常に繊細な心の内を微妙な表情で表現していて、こちらもその表情にぐっと引き付けられるものがあった。
自由に恋愛を楽しみ、残りの人生を謳歌する父をそばで静かに見つめながら何かを感じ取ろうとし、父が去ったのち、その喪失感と新たな人生を歩もうとするも、なかなかおぼつかない足取りに胸がきゅんとなる。
「うまくいくと思えなくてうまくいかないようにしてしまう」っていう感じのセリフがあったのがとても印象的だった。私も結構ネガティブ思考で不安がりなので、この気持ちには共感した。

そんな感想を抱えながら、東京へ向かった。国内の旅なんてそれなりに仕事でもこなしてはきたし、コミコンだって大阪で行って友達も一緒だけどオーリーと写真も撮ったことがある。そんなに緊張することない、はず。
だけど、ユアンと写真を撮るとなると、私の中ではやっぱり心がざわざわして落ち着かなかった。上手くいくかな…、本当にユアンは東京にくるのかな…。

ユアンがコミコンにくるから私も東京へ行く!そう友達に告げたら、みんな、いかえもん、昔からユアン、ユアンって言ってたもんなー!そりゃ行ってこい!と背中を押してくれた。私は自分ではあんまりわかっていなかったけど、はたから見るとかなりのユアン好きだったようだ。そのことが自分でも身にしみてわかったのは撮影ブースにユアンが入ってきたときだった。私は嬉しさのあまり涙をこらえきれなくて、半分泣き顔のままユアンに挨拶することになってしまった。ユアンはとても素敵な笑顔でHello!と言いながら半泣きの私をしっかりハグしてくれて写真を撮ってくれた。
ブースを出るときはポロポロと涙がこぼれてしまって、恥ずかしい限りだった。
サイン会ではその写真にサインをしてもらおうと持って行った。一生懸命ああ言おう、こう言おうと英語も考えていったのに、本人を目の前にしたら、頭真っ白。写真をゆっくり眺めながらユアンとその横にいるマネージャーさんらしき人が「いい写真だねぇ…」と言ってくれた。私はあわてて、「あんまりうれしくて泣いちゃって…」とお前は何年英語やっとんねん!な文法めちゃくちゃの英語で言うと、そんなことないよ~って感じで微笑んで、いい写真だよと言いながら、サインを渡すときに私の肩のあたりをポンと優しく触ってくれた。

その写真を友達に送って、その時の話をしたら、みんな自分のことのようにとっても喜んでくれた。いい友達に恵まれて私は本当に幸せ者だ。

人生はビギナーズ。全くだ。これまでの人生、いろんな苦労や辛いこともあったけど、こんな信じられないような素敵な瞬間が訪れることもある。これからも迷ったり悩んだりするだろうけど、ビギナーなんだから気にすることはない。自分の気持ちに正直に、好きを大事にしながら一生懸命生きていけば、いいこともあるよっていうそういう映画なのかもな…とコミコンから帰ってきてやっとわかった気がした。