結杏

人生はビギナーズの結杏のレビュー・感想・評価

人生はビギナーズ(2010年製作の映画)
4.5

大人しい映画。心の奥に染みるというか、じんわり浸れる。特別盛り上がる訳でも、深く沈み込む訳でもない。淡々と、でもスローでゆったり、心地よく流れていく。
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主人公のオリバーは、デザイナー。
母が他界したある日のこと、彼は父親からこんなカミングアウトを受ける。「私はゲイだ」と。そうして、ガンと宣告を受けながらも、新しい人生を楽しむ父の姿を見て、自分の中で少しずつ何かが変わっていくオリヴァー。
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繊細に描かれる人間の姿、人間の心を、飾らない音楽とともに、静かに優しく表現。
そんなシンプルな絵面の中にアクセントとなるのは犬のアーサー。切り取り方も素敵。1955年と2003年の比較とかね。とってもお洒落なんだ。
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お気に入りはオリヴァーとアナのパーティーのシーン。控えめで可愛い2人のやりとりに、思わず微笑んでしまう。花火のシーンも大好きだ。花火は色と色、線と線が絡み合い、美しく空を彩る。まるでひとつの人生のように。様々な人の思いが絡み合い、1つになってはまた別れ、なんて素敵なんだろうと思ったら、最後には儚く消えてゆく。そして、新しい人生が、出会いが、はじまる。
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人生って、ほろ苦い。
人生って、難しい。
人生って、しあわせ。
結杏

結杏