これは最もドキュメンタリーらしいドキュメンタリーなのではないかと思った。
声が聞き取れないことにその本質を見る、しかもそこに字幕が付いていないため喋っている言葉ではなく、人間の切羽詰まった表情にこそ言辞以上のメッセージが収斂されていると信じるカメラは常に顔が映るよう戦闘シーンにおいても上半身を捉えて怒りに震える村民と無表情を貫くガードマンとを対比している。
ワンカットの会話場面は喋っている人間へパンしていくのみでやはり聞き取れないのだが、その人間たちの顔に落ちる影と皺が悲惨さを際立たせる。序盤にある老人が横断幕を掲げて何やら叫んでいるが、それをブルドーザーの轟音にかき消されてしまうシーンがあって象徴的。