「犯罪河岸」(はんざいかし)と読む。「恐怖の報酬」(1953)のクルーゾー監督によるフレンチ・ミステリー。
第二次世界大戦直後のパリの下町。ピアノ弾きのモーリスは年下の歌手ジェニーと結婚するが、奔放な彼女の浮気が心配でたまらない。ある日、映画会社の好色社長に気に入られたジェニーは色目を使い売り込もうと試みる。これを知ったモーリスは拳銃を手に社長の邸宅に押しかけのだが、そこには死体が転がっていた。。。
戦後フランスのゴチャついた町の様子がとても良かった。陰影の効いたシャープなモノクロ映像も退廃美を発していて魅力的だ。しかし、少し長く感じてしまった。終盤に一捻りあって安心したが、それまでのストーリーが直線的すぎたと思う。フランス映画らしい寄り道の演出や会話を楽しむ心の余裕があればもっと楽しめたと思う。
主役のモーリスとジェニーよりも、友人の女性カメラマンと刑事のほうが好みのキャラクターだった。