BOB

犯罪河岸のBOBのレビュー・感想・評価

犯罪河岸(1947年製作の映画)
3.5
アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督のクライム・ドラマ。

1946年パリの下町。伴奏ピアニストの男が、色っぽい二流歌手の妻が、富豪の老人に取り入ろうとしていることを知る。嫉妬に燃え、老人を殺そうと二人の密会現場に行くと、既に老人は死んでいた。

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異色作。ジョルジュ・クルーゾー監督作品といえば、手に汗握るサスペンスや、ゾッとするスリラーが特徴だと思っていたが、本作は一味違い、全体的にライトトーン。セット、撮影・編集方法などからはハリウッド映画のような印象も受けた。ナチスに協力的だと批判された『密告』から約4年、謹慎明け一本目の作品ということも影響しているのかもしれない。

ジャンルミックスな作品。犯罪サスペンスであり、探偵ミステリーであり、すれ違いコメディでもある。そして、まさかの"クリスマス映画"でもあった。陰気なシリアスドラマからクリスマス🔔に救われる展開は『素晴らしき哉、人生!』に似たものを感じた。

市民から嫌われていた警察が、本来あるべき信頼を取り戻していく話でもあったように思う。ナチ支配下時代に失ったフランス警察の信頼を回復させるという意味も込められているのかもしれない。

警察署に群がる新聞屋たちの圧、パパラッチ感が凄い。

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