荒野のジャバザハット

ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃の荒野のジャバザハットのレビュー・感想・評価

3.7
戦争を忘れた腐れきった若者達へ贈る皆殺しのメッセージ。

今作の見所はとにかく前半部に尽きる。意味も無く町で暴走する者、無闇に動物を殺める者、過去の大災害に無関心で当時の人達を理解しようともしない者、彼らをゴジラはご丁寧に初登場のオマージュまで付け街の破壊を繰り返す。まさに初代ゴジラのの精神を受け継ぎ、過去の傑作を今の若者に思い出させようとする内容。入院患者を病院ごと葬り去るシーンと学校にて閃光を浴びキノコ雲を遠巻きに見るシーンは突出して素晴らしかった。
墜落した民間ヘリに対して"あの人達、死んだ。"というセリフを言い放ちこちらにリアルを突きつけてくる描写も凄く生々しくてゾッとする。

ゴジラから生き延びた父と今を生きるジャーナリストの娘。彼らの視点で物語は進んでいくのだが、ドラマパートも見応えがある。
子供だった父親は当時ゴジラに両親を殺されるもとにかく逃げることしかできなかった彼は防衛隊としてゴジラに特攻をかけ立ち向かう。そんな彼の1人娘は目をそらし続けてきた他の若者達と違いジャーナリストとして果敢にゴジラに立ち向かう。
その他大勢との違いを絵的に上手く見せ主要キャラクターを引き立たせているのは上手いなあと。

ただ個人的には怪獣プロレスの展開はあまり乗れないというか、金子修介監督となるとやはり平成ガメラシリーズとの比較で本作の内容は目減りしてしまう。あっちの方がバトル描写のクオリティ全然高くねえか?特に目玉のモスラ、ギドラ戦はなんだかなあ、、、バラゴンが良かっただけに。当初の予定だったというアンギラスなんかだと内容もだいぶ変わって泥臭く良い試合だったのかなと思うとなんだか勿体無い。

その後のアルマゲドン的な描写だったりと少し気恥ずかしくなる展開もあるが、やはりゴジラの恐怖を思い切り描き切った事は素晴らしい。