雨のなかの男

カラマリ・ユニオンの雨のなかの男のネタバレレビュー・内容・結末

カラマリ・ユニオン(1985年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

U-NEXTで鑑賞。これはロードムービー…なのか?だとすれば自分の認識を改めなければいけない。ロードムービーにおいて旅は主人公の唯一無二の身体を路上に晒し、気候や景色の変化と共に自己を見つめる性質を持つもの、という持論があるのだが、これはなんというかその…玉ねぎを向いていく作業のようにフランクたちに無個性さが露になっていく。カラマリ・ユニオンを騙る「フランクたち」はまるでアメーバのようなひとつの生命体として約束の地を目指し、旅立つ。道中、分裂をするかのごとく分かれ、寄り道し、それぞれの道を歩むのだが、浅はかな思考のフランクはとにかく簡単に消される。全く一個人の人格を認められていないかのように粗末に殺されるフランクたちが不憫でならないが、そこがなんだか面白い。ロードムービー的な個人の内省はなく、不条理な仲間の死を尻目に、ひたすら前進と後退を繰り返す物語。正直、誰が先にゴールするのか?とか本当にそんな素敵な場所はあるのか?という疑問より、どのフランクならまともに生き残れるのか?という素朴な疑問が先立つ。そのくらいフランクたちは呆気なく消されていく。目的の地にたどり着いたあるフランクは「遅かったんだ」と嘆く。いかにも『イージー・ライダー』のピーター・フォンダの“We blew it.”のように意味深に、哀愁漂わせるように語るのだが、「まあそうだろうな」と納得せざるをえないマヌケさが最後まで面白かった。
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