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王と鳥のandesのレビュー・感想・評価

王と鳥(1980年製作の映画)
4.1
改作前の「やぶにらみの暴君」はラストだけチェック。確かに印象はかなり異なるが、どちらも素晴らしいアニメーションである。
横暴な権力者や階層社会への批判的な目線がありつつも、表現がメッセージを超えている。スルスルと伸びるエレベーター、絵から抜け出すカップル、サーチライトに映る影、さらに全編にわたり空間を感じさせるレイアウト。宮崎駿、高畑勲が影響を受けているのも頷ける。
しかも美しいのに、不気味なのだ。絵の王の権力乗っ取り、ロボットの自動演奏、そしてあの城自体が怖い。歪な構造のまま動いている感じが妙に怖い。
ゆえに、終盤の反乱の場面は人間らしさ(生物らしさ)が感じられカタルシスがある。グリモーの思想が現れたラストもわかるが、単純なハッピーエンドとなった「やぶにらみの暴君」の方がバランスが取れていると感じた。映画というのは不思議である。
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