ペジオ

ゴーストライターのペジオのレビュー・感想・評価

ゴーストライター(2010年製作の映画)
3.9
ゴーストとしての在り方

まるで「派手な場面を映してはいけない」という「縛り」を設けているような映画
だからこそ、些細な場面の画作りとかが計算し尽くされているのがよく分かる(序盤の舞台となる首相の別荘の設計とか直線的で既に気持ちいい。)
この辺の純粋な映画的快楽はポランスキーの演出力に依るところだろうか(デ・パルマとは別の意味でサスペンスの雰囲気重視でストーリーに興味無いよねこの人。)

イギリスっぽい曇天の空の下だったり(舞台はアメリカですが…)、地味ながらその緻密な画面構成が心地よかったりする点で、似ているなと思い出したのは「裏切りのサーカス」だったのだが、アチラに有った「内に流れるエモーションが滲み出る様な瞬間」すらコチラには無い
そもそも「謀」という、利益を巡る思惑を一見それを感じさせない見栄えの良い外面で覆った様な冷徹な「おとなのけんか」にエモーションの入り込む余地などは無いのかもしれない
だからこそ純真さを体現したようなユアン・マクレガーの存在感が際立つ
陰謀に巻き込まれたユアンのフワフワと「浮遊」した…「地に足の着いていない」佇まいは「幽霊」のそれを思わせる(感情や意思のみの存在が幽霊であると定義したい。)

カーナビ演出とか露骨に「死者の念」を想起したり

主人公がどの段階で「幽霊」になる筈だったのかを考えると、ラストのメモとか連中からしたら恐怖でしかないだろうな
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