これまた神の沈黙。
とはいえ、人間世界の惨さと正当性をありありと描く。ラストシーンがあまりに美しすぎるが故の残酷なまでのコントラスト。
そしてそこに神と信仰が交錯する。
彼らや家族に降りかかる災難、不幸は明らかに他責なるものであるが、彼らは自分を責める。敬虔さがはっきり視覚化され、逆説的なある種の神の絶対性が剥き出しになる。
やるせない現実でありながら、そこに何か意味性を見出さんとする。
キリスト教的価値観が根底にありながらも、我々にもクリティカルに疑義を呈するものである。
人物の配し方、設定が実にうまい。