中世の北欧を舞台に陵辱の果てに命を奪われた少女の悲劇と、彼女の父親による復讐が描かれる。
モノクロームが映し出す人間の光と影。
神と俗。
処女と非処女。
穢れのない純粋無垢な白と他者を恨み妬む邪心の黒。
生まれた境遇の違いと育った社会の歪み。
これらのコントラストが作品のテーマを鋭く描き出している。
神の存在と信仰心、人間の犯した罪とそれに対する罰。
神はなぜ人間の苦悩や悲劇を放置するのだろうか。
神はなぜ救済を求める人間の祈りに対して姿を現すことなく、救いの手をさしのべることをしないのだろうか。
穢れてしまったのは処女を失った少女か、それとも他者を恨み殺してしまった者たちか。
本当の穢れを前に、神は沈黙する。
誰が少女を殺したのだろうか。