このレビューはネタバレを含みます
[衝撃的だが寓話的]
ラストで、娘の亡骸の跡から、泉がコンコンと湧き出てくることで、両親が一瞬安堵の表情になる。娘を殺されたのにホッとしてしまうのはいいのかなとちょっと思ってしまった。
そして、イングマール・ベルイマン監督作品では、神への疑惑がもっと深まっていくことが多いが、この作品では脚本を自分ではなく、ウラ・イサクソンが書いており、趣が異なり、かなり寓話的になっている。
また、父のテーレ(マックス・フォン・シドー)が、インゲリ(グンネル・リンドブロム)のようないかがわしい者に娘を任せるのが浅はかな気がして解せなかった。
それと繋がるかのように、娘カリン(ビルギッタ・ベテルソン)が、強姦されて撲殺される所も、父テーレ(マックス・フォン・シドー)が復讐の為に娘を殺した3人を殺す所も、凄まじい緊迫感で衝撃的だった。
その話を寓話的に終わらせていることで、衝撃が余韻に変わっている。そして傑作となったのだろうと思う。(2018.9.15)
果たして神はいるのか?というイングマール・ベルイマンの問いなんだろうけれども、根本は牧師であるベルイマンの父からの虐待への復讐なんだろうとも思う。
しかし、ラストの“泉”は、神の存在への答えのようになっている。ベルイマンの意志に反して、脚本のウラ・イザクソンの意向でそれが入れられたとのこと。何とも言えないが、それが救いになっているかもしれない。(2021.1.4)