風に立つライオン

グラン・ブルー完全版 -デジタル・レストア・バージョン-の風に立つライオンのレビュー・感想・評価

3.8
 リュック・ベッソンの1988年制作の出世作である。

 二人の実在の天才的ダイバージャック・マイヨール(ジャン=マルク・バール)とエンゾ・マイオルカ(ジャン・レノ)の友情と葛藤を描いたものでジャックに恋する保険調査員のジョアンナ(ロザンナ・アークェット)が2対1のユニットとして絡む。
 彼女はロング・ウェイ・ホームでも素晴らしいヒロイン役を演じていた。

 幼馴染みでもある二人は素潜り世界記録に挑むライバルとなるが、冒頭は二人が少年時代を過ごしたギリシャの海辺の町のシークエンスから始まる。
 モノトーンだが不思議と色を感じる。突き抜けるような青い空、光り輝く海原、白い家々、少年期の映像は眩いばかりに輝いている。

 そして現代のイタリアシチリア島、モノトーンからカラーに移る。
 成長したエンゾらが海難事故の救出劇に乗じて一儲けし、シチリア島タオルミナで開催されるフリーダイビングの世界競技会切符を手にする。

 一方、NYの保険調査員ジョアンナはペルー・アンデス山脈の高地に仕事で来た折に、成長したジャックと出会う。
 ジャックに惹かれるものを感じていたジョアンナはNYに戻った後、アホな上司とルームメイトの愚痴に辟易していたこともあり、適当なことを言ってシチリア出張を勝ち取る。
 エンゾはコートダジュールにいたジャックを探し出し、手配した航空券を渡す。

 かくして3人はタオルミナで再会し、過酷な競技のかたわら夢のようなバカンスに酔いしれる。

 そして悲劇が訪れる‥。
 
 とにかく地中海性気候の中でイルカと共に海、光、風を味わうならこの映画である。