櫻イミト

ライト・スリーパーの櫻イミトのレビュー・感想・評価

ライト・スリーパー(1991年製作の映画)
3.5
「タクシー・ドライバー」(1976)「アメリカン・ジゴロ」(1980)と共に、ポール・シュレーダー・トリロジー(三部作)と呼ばれた名作。

ニューヨーク。不眠症に悩む孤独な男ルトゥア(ウィレム・デフォー)は、女社長アン(スーザン・サランドン)のもとバイヤー稼業を続けていた。まともな生活への一歩が踏み出せない中、かつて自分の薬物乱用が原因で別れた妻マリアンヌと再会するが。。。

90年代初頭の時代の変わり目を迎えようとしているNYの雰囲気と、人生の変わり目で足踏みする主人公の姿。プロットはポール・シュレーダーの脚本で繰り返されているものだが、本作はキャストも街の風景も絶妙にマッチしていて、都会の片隅への眼差しがストレート伝わってきた。ジャジーな劇伴も良かった。

意外に知られていないシュレイダー監督らしさの詰まった佳作。

※監督の最新作「カード・カウンター」(2023) の主人公の背中に彫られたタトゥー“I trust my life to providence -I trust my soul to grace(人生を天意に 魂を恩寵に委ねる)”は、本作のオープニング曲「World on Fire/マイケル・ビーン」の歌詞の一節。
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