emily

ベティ・ブルー 愛と激情の日々のemilyのレビュー・感想・評価

5.0
海辺の家で修理工の仕事をしながら暮らすゾルグはベティと言う美しい少女と出会い激しく愛し合う。ベティは気性が激しくちょっとした事で感情のバランスを崩してしまうが、そんな彼女を優しく受け入れるゾルグ。ある日彼が書いた小説を見つけたベティは彼の才能に惚れ込みタイプで原稿を作り出版社におくる。友人のリサとその恋人のエディとの共同生活は順風満帆にみえたが、一向に出版社から返事がこなく、エディの母の死、望んだ妊娠テストが陰性だった事が重なりベティは壊れていく。

青やパステルピンクを基調とした色使い、激しさの中に淡さをもたらし、夕日などの光と色のコントラストが見事なまでに二人の激しくもはかない、愛おしくも痛々しい愛の日々を描写している。黄色い車の中でキスする二人に光が斜めに差し込む。確かに輝く二人の未来がきらびやかに眩しさを放つ。室内もレトロな家具やカフェの小窓、赤と青のコントラストが美しく、肉体と精神のそれへと並行していく。

短期間で燃え上がり愛に生きたベティ。修理工の仕事をやめさせるため家をもやし、彼のために不器用ながらタイプを打つ。愛する人を尊敬したい。そのためだったら何だってするのだ。

彼女の行動を受け止めそれを見守るゾルグ。それに身をまかせる事で、結論としては道が見えてくるのだ。自分がやりたい事、やるべき事を彼女の情熱的な愛により気づかされるのだ。誰かを行動させるのは難しい。彼女は意図的だったかどうかはわからないが、そのラストが全てを物語っている。

ここまで情熱的な純愛を貫けた二人、その期間は短くとも生きてる事を実感出来ただろう。短くともしっかり花咲いた二人の愛の物語はどんな花よりも儚く美しいのだ。
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