みーちゃん

ヨコハマBJブルースのみーちゃんのレビュー・感想・評価

ヨコハマBJブルース(1981年製作の映画)
4.5
松田優作は大好きだし、出演作もいくつか観てる。でも、どの作品が一番好きか聞かれると、正直浮かばず、答えられなかった。それは多分、私がリアルタイムのファン層より下の世代ということもあって、個々の作品の魅力と言うより、存在感への憧れや、イメージが先行しているからかもしれない。

で、そんな中、ヨコハマBJブルース。
もう、信じられないくらい、かっこ良かった。自分の中に漠然とあった、かっこいいのイメージが、BJを通してそのまま体現されていて驚いた。

ストーリー云々、オリジナル云々、ベタ云々なんてことより、とにかく私が見たい、聴きたい、感じたい、と思う要素が詰まっていた。彼が何をしてもしなくても、何を言っても言わなくても、ただ画の中に存在するだけで魅せられる。

特に、街の中を、ひとり、歩いたり、佇んだりするシーンに、ぐっとくる。私にとってアイデンティティの原風景だ。心の中に切り取り、いつでも思い出せるよう、ずっとピン留めしておきたい。
(明け方のライブハウスからの帰り道、バンドのメンバーが、一人、また一人と抜けていき、最後に独りになるシーン好きだなぁ。線路を歩くシーンもいい)

そして何と言っても、静けさやうらぶれた中に、秘めた激しさを常に感じさせるところが唯一無二の存在だと思う。

それを象徴するのが、普通ならボリューム負けしてしまう、黒っぽいロングのチェスターコートを、更にボタンを全部留めるという重い着こなし&首元のVゾーンを隙なく処理するグレーのマフラー。そして、時折のぞく差し色の赤&絶妙なバランスで袖元から少しだけ見える抜け感と理性の白いシャツ。しかも、ヘアスタイルは時代や主義を何も感じさせないやつ。

だから、これからも永遠に色褪せず、かっこいい。