浅野公喜

奇跡の人の浅野公喜のレビュー・感想・評価

奇跡の人(1962年製作の映画)
3.9
言わずもがな見えない聴こえない喋れないの三重苦のヘレン・ケラーとサリヴァン先生の交流を描いたヒューマンドラマ。大学の授業で観たものの時間の都合で最後まで観れず気になってた作品でもあります。

戯曲・映画として脚色されている部分も有るそうですが二人の「戦い」がまあ凄い。三重苦の子供にほぼ0から言葉を教えるわけで異様にハードルが高いのは想像に難くないですが、物を投げつけたり大暴れするヘレンを押さえつけての教育は例えとして正しいかそうでないかは置いといて「エクソシスト」並かそれ以上の迫力で実際のヘレンとサリヴァン先生、そして彼女らを演じた二人の凄さが伝わってきます。目に障害を持つサリヴァン先生の過去(ぼやけた映像で分かり易く描いてくれます)、加えて決して甘やかさない終わりのない教育、それに応える姿勢からは障害を持つ者同士故の絆の強さ、不屈の精神が伺えストレートに胸を打ち、勇気を貰えた気分です。

ヘレンの両親が一部無駄にヒステリックというか感情的でオーバーアクト気味なのが気になる所ですし(冒頭の母親はあんなに叫ぶ必要があるのでしょうか 笑)、ヘレンの人生の一部しか描いていない不満も有りますが、二人の交流をもっと観たいと思わせる牽引力が魅力の作品。長編ドラマで観たい作品とも言えるでしょうか。
浅野公喜

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