たにたに

奇跡の人のたにたにのレビュー・感想・評価

奇跡の人(1962年製作の映画)
4.2
【WATER】2023年58本目

ヘレンケラーの実話を元にした作品。

1歳9ヶ月のころ熱病で、耳は聞こえず、目も見えず、話すこともできなくなってしまったヘレン。

その振る舞いはまるで感情を持たない野獣のような暴れっぷり。落ち着きなく家の物を壊しまくり、食事のマナーなど存在しない。

そこに同じく弱視を患っていたサリヴァン先生が訪れ、ヘレンの教育が始まります。
その躾ぶりが、今作ではたっぷり映し出されますが、これがすごい。
食事のマナーを教えるために、椅子に座らせ、スプーンを持たせ、口まで運ぶということを、見てるこちらも疲れるほどの大格闘劇。これ見るだけでも価値あり。

サリヴァン先生はヘレンに"言葉"を教えるために、手話でアルファベットを作って、まさに触れながら心を通わせていきます。
それだけでなく、ヘレンの持つ嫉妬、知的好奇心という本能を利用している点が素晴らしい。

そもそも物に名称があるという概念を伝えることが難しい。それが最終的に通じた時、ヘレンの頬を涙が伝う。
これが"WATER"という概念を知った時というのが、素晴らしい本筋。

水を知り、そして母を知り、父を知る。
そして先生を知り、自分が愛されていることを知る。



南部と北部の対立関係と、亭主とサリヴァンとの対立を照らし合わせ、その時代を切り取った側面を取り入れている点も見逃せない。
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