ナユRA

奇跡の人のナユRAのレビュー・感想・評価

奇跡の人(1962年製作の映画)
5.0
「心に触れたい」
人を語るにはもってこいの作品に思えました。コミュニケーションや知識欲って人としての当然の欲求で、それが満たされないのは本当つらい。不満や怒りがあふれるのは当然。親は愛はあるが哀れむことしかできず、そこで第三者の先生が本気で体と心をぶつけて教育に挑む。先生が本気になれたのは自身のトラウマを癒やしたかったかのように思える。他人に本気になれるときってそれを通して過去の挫折や心の消化不良をなくしたいってのはあると思う。あと、ぶつかりあえるて同じパワーの者同士しかできないと思う。お互い孤独に耐えてきたパワフルウーマン同士だからね。力ずくで作法や手話を教えていくが、そもそも伝えるには孤独なヘレン・ケラーの心を開かなければ思うようになる。そして「心に触れたい」というコミュニケーションの真髄というか、愛そのものともいえそうなセリフが出てくる。わたしの人生で「心に触れたい」ってセリフは絶対に出てこないだろう。それぐらい他人に遠さを感じないのとそこまで関心がないからかもだけど。この映画はヘレンが初めて言葉を発したところで終わる。史実の切り取り方としてさっぱりしてるというか、最初の大きな一歩の大切さが伝わるしいい終わり方だと思った。この作品は演技が迫力あるから感動するね。
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