これは!「ガラスの仮面」の奇跡の人篇も併せて読むととんでもなさが分かるのではないでしょうか。
すげー。
ガラスの仮面っていうレジェンド演劇マンガの中でさえ、なおレジェンド女優として実名で語られたヘレン役パティ・デュークの、演技を超越したmiracle work。
もちろんアン・バンクロフトとの本気過ぎる掛け合いがあってこそですけど。
まさに伝説級でありました。
すげー。
あのある意味トンデモまんがとも言えるガラスの仮面がけして大袈裟ではなかったと言わざるを得ない。すさまじい二人の演技!
・・・
光と音のない世界ってどういう感じなんだろう?
目をつぶって耳をふさぐより、暗い海の底に沈んでいることを想像する方が理解しやすそうな気がする。いや知らんけど。
息も出来ず水圧で潰されるような、息苦しさと重苦しさに苛まれるイメージ。
でもそれは僕が健常者として勝手にイメージしただけで、物心つく前からっていう人がどういう認識世界にいるのか、全然想像がつかない。
そんな、想像できないような暗闇にいる相手に、触覚と情熱を頼りに教えるわけです。
文字と言葉の存在。物には名前があること。行動にも匂いにも、感情にも現象にも、名前と意味があること。
例えば僕らが、別の次元の物理法則や宇宙人の価値観とかルールを突き付けられるようなものじゃないかなあ、ヘレンにとっては。と思う。
X次元の世界はギョボとジビンソがネヒャベーしてるからオトュミンなんですよ!ってことを、割り箸と梅干しだけを使って理解させるのが、サリバン先生の役目というわけです。
難題です。
いわゆる無理ゲーです。
でもサリバン先生は諦めなかった!
ヘレンの可能性を信じて絶対に絶対に諦めなかった!
芸を仕込むようにしつければ、意味のある行動をしているように見せることは、ある程度できる。
でも本当の理解、体感的理解、仏教でいう悟りを得るような感覚…その領域まで辿り着かせるにはどうすれば…
ロボットでも哲学ゾンビでもない、人間として世界を認識させるにはどうすれば…
サリバン先生が起こした奇跡。
ついに殻を破ったヘレンのその瞬間の表情、「う、ぉお…(water)」と絞り出すような声、鳥肌ものの名場面・名演技です。
いっぺんに拓けていくヘレンの世界。
これはスタートに過ぎないわけですけども、ヘレンの二度目の誕生の瞬間なんですね。
教育は愛とは違うと言ってたサリバン先生が、結局はヘレンと抱き合ってるシーンが美しい。