ペコリンゴ

恐怖城/ホワイト・ゾンビ/ベラ・ルゴシのホワイト・ゾンビのペコリンゴのレビュー・感想・評価

3.3
記録。
ここから歴史は始まった…。

ゾンビホラー映画の元祖といわれる今から90年近く前の作品。元祖ゾンビ映画にも出演しているとは、やはりベラ・ルゴシは偉大過ぎる。

当然ロメロが『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を世に送り出す前の作品なのでゾンビが人を喰うことは無い。

むしろ工場で飲まず食わずで働かせられる等、ルゴシ演じるゾンビマスターの意のままに動く悲しき存在。人ならざる者の悲哀という意味では『フランケンシュタイン』等ユニバーサルモンスターズの名作群に通ずるものがあるかもしれない。

本作はジャンル的にはホラーなのだろうけど、恐怖というものは時代によってその概念を変えるもの。当時と今で人が何を恐れるかは違うのだ。そういった意味で現代の目線からすると本作を怖がるのは難しく、メロドラマ的なストーリーの印象が強い。

とはいえ、ルゴシにしか出しようのない射抜くような眼光や、何の衝動も持たないゾンビ、人間の悲鳴のようなトーンでやかましいハゲワシの鳴き声など不気味ポイント高め。

ちなみにルゴシの代表作である『魔人ドラキュラ』のセットを流用しているらしい。低予算でもそれを感じさせない試行錯誤。当時も今も変わらないテーマなんだなぁ。