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恐怖城/ホワイト・ゾンビ/ベラ・ルゴシのホワイト・ゾンビのHKのレビュー・感想・評価

3.0
ゾンビ映画の始祖と言われている作品です。
70分程度でグロ描写もないので、話の種にサクッと観れます。原題はWhite Zombie。
ホワイト・ゾンビというタイトルは聞いたことありましたが、本作のことだったんですね。
ただ、何がホワイトかは最後まで不明でしたが。

本作がゾンビというワードをタイトルに使った初めての映画でもあるようです。。
本作中のセリフでもゾンビの他にリビングデッド(生ける屍)という言葉も既に使われており、明らかに後のゾンビ映画の前身ですが、ゾンビそのものの趣はずいぶん違います。

もともとゾンビとは、西アフリカや西インド諸島のハイチなどで信仰されているブードゥー教の呪術により、死者を蘇らせ奴隷として使役していたという言い伝えからきたもの。
ロメロの映画以前の、ゾンビがまだほんのザコキャラだった昔、私も子供の頃に読んだモンスター図鑑にもそう書いてありました。しかし、今も現地ではたまに目撃例があるとか。

それを、ロメロが吸血鬼の要素などを足して作り上げたのが後の一般的な(?)ゾンビですが、本来は本作に出て来る意思を持たない木偶人形のようなものなので、自発的に人を襲わない、噛まない、感染しない、などが現代のゾンビとは大きく違います。

またブードゥー教の呪術ではゾンビ・パウダーという薬を使うらしく、この薬は人間の脳を仮死状態にすることから、ゾンビとは死人ではなく仮死状態の生きた人間ともとれ、その辺は本作でも曖昧な描かれ方をしており、死人なのか、体は生きているのか、その両方のパターンがあるのか正確には不明。

たしかに本作には腐りかけたゾンビもいませんでしたし、実は体は生きている?
しかし食事も睡眠も不要で奴隷として働き続けるそうですからやっぱり死んでる?
それとも消費期限があるのか?

本作でゾンビを操る悪の呪術師を演じるのは元祖ドラキュラ役者のベラ・ルゴシ。
ヒロインを演じるマッジ・ベラミーという女優さんがキレイ。
意外に立派だった城は『魔人ドラキュラ』のセットの流用とか。
酒場でのシルエットの使い方が演劇風で面白かったですね。

そして、ロメロが本作から引き継いだ無表情でゆっくりフラフラ歩くという特徴も今や少数派となり、昨今のゾンビは殺気だった顔で全速力で走り回り、本作の頃とはさらにかけ離れてきました。風情がないなあ。
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