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恐怖城/ホワイト・ゾンビ/ベラ・ルゴシのホワイト・ゾンビの0000のレビュー・感想・評価

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ババアの断末魔の大絶叫のごときハゲタカの鳴き声がもはやジャンプスケア要素化している……。
そのハゲタカという存在といい、ラストのルゴシの死に方のシチュエーションといい、仮死状態の花嫁を助ける展開といい、5年後1937年公開のディズニー『白雪姫』に影響与えてる可能性が微レ存。

(余談。初期ディズニーアニメ映画特に最初の黄金の5本『白雪姫』『ピノキオ』『ファンタジア』『ダンボ』『バンビ』は怖い要素にもめちゃめちゃ力が入ってる映画でもあり、そのせいでか最近でもディズニー長編アニメは怖要素入れなきゃみたいな伝統は脈々と続いてる感あるし、そもそも原点的短編シリーズであるところのシリーシンフォニーの記念すべき1作目からして『骸骨の踊り』だったりと、ディズニーとホラージャンルというのは浅からぬ関係があるし、名作『The Mad Doctor』(ミッキーのお化け屋敷)や、ディズニーのライバルであるフライシャースタジオの短編作品ではユニバーサル映画『ジキル博士とハイド氏』(1931)のパロディが入る『Betty Boop, M.D.』(ベティ博士とハイド)、 これまたユニバーサル『フランケンシュタイン』のパロディが入る『Betty Boop's Penthouse』(ベティの屋上庭園)、あと普通に直球で怖い『Bimbo's Initiation』(ビン坊の結社加盟)や『Minnie the Moocher』(ベティの家出)『Swing You Sinners!』(お化けオンパレード)等の超傑作ホラー群もあり、ディズニーやフライシャーのカートゥーンにおけるホラー要素と当時のユニバーサルを中心としたホラー/モンスター映画ジャンルの恐怖表現の相互影響関係みたいなのは気になるところ……。後には本格ゴシックホラーアニメ『イカボード先生の怖い夜の森』もあるし、ティムバートンによる記念碑的なディズニー短編アニメーション『ヴィンセント』、また『禁断の惑星』や『鳥』でディズニーのアニメ作画技術そのものが実写映画で怪異を表現するためのVFXとして使われるわけだが……)

この『恐怖城』、ブードゥーゾンビ映画の始祖ということで名前は有名だけど、内容についてはあんまり高い評価を聞いたこともなかったが、ティムバートン『エドウッド』で老ルゴシとエドウッドがテレビで見てる作品として『恐怖城』がチョイスされていた。
ルゴシがゾンビを操るときに忍者が印を結ぶように「あるある探検隊」的な両手の組み方をし、そのあと『エドウッド』劇中版『恐怖城』でのマーティンランドー演じるルゴシは片手を突き出し手招きというか手繰り寄せるような指の動きをしエドウッドが「指の動きかっこいい」とかルゴシを褒めるのだけど、オリジナル『恐怖城』本編には指の動きのシーンは入ってなくてルゴシはあるある探検隊しかやらなかった。指の動きは『エドウッド』の作劇のための嘘として『魔人ドラキュラ』でやってた指の動きを持ってきてる。じゃあテレビで見てる映画は『魔人ドラキュラ』にしたらいいやんと思うのだけど、ティムバートンは王道ではなくあえてマニアックな『恐怖城』にこだわった。

とりあえず言えるのはヒロインがかわゆくてティムバートンに影響に与えてそうなヒロインのビジュアル第3位くらいには入る。
(1位はもちろん『フランケンシュタインの花嫁』、2位は『恐怖の足跡』、4位『反撥』、5位『死なない頭脳』)

カリオストロ伯爵に薬を飲まされて夢遊状態っていうか目に光がなくなった結婚式当日のクラリス状態になってお城に幽閉されてるヒロイン(白いドレスみたいなのを着てて原題のホワイトゾンビはこのヒロインのことを言ってると思われる。洒落た題である。)がお城の窓のところに一瞬ふわっと現れて外を見るのを遠く海岸から婚約者の男(主人公)が目にした、というよりテレパシーみたいな愛のパワーで感じ取ったふうでヒロインの存在に気づくという、これからいざ助けに行くという展開になるというシーンでゴスペル音楽みたいなエモい音楽で盛り上げながら城のヒロインと海岸の主人公の画をスプリットスクリーンで見せる演出が白眉。すごく感動的。

ゾンビという存在の不気味さはとてもよく出ていてすごい。
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