「当たり」作品の多いペドロ監督だけあり、今作もサラッと軽く流しているわりに、見所が多い楽しめる作品となっている。
1989年頃だとまだ「ストーカー」という観念自体あまりない時代に、このストーリーを思いつくのはさすがだと思う。
題材の選び方にセンスを感じる。
アントニオは齢をとったほうが渋くて良い役者になっていくのだが、今作では若さいっぱいの危ない奴を好演していて、後の大スターとなる素質を十分に発揮している。
そしてなんといってのビクトリアの可愛さと、躊躇ない脱ぎっぷりは見所。
監禁しているので、ストックホルム症候群なども盛り込みたくなるところを、それはあえて無視して、ロマコメに振っている所も作り方としては上手い。
姉と車で走っていく能天気な「ハッピーエンド」も深読みすると、この監督の作品群から想像するに、「皮肉」ととったほうがいいのかもしれない。
まぁ、あまり御託を並べるより、ビクトリアのサービスシーンに集中した方が楽しめるだろう。
水中バイクのおもちゃ、最高!!
余談。
三人で楽しく歌を歌いながら去っていくラスト・・・
どう考えても、この後に幸せが待っているとは思えない。
ストーキングに走る人間の根本には「自己中」があるし、監禁されての犯人に対する愛情などはほとんどストックホルム症候群と言っていいだろう。
この2人の「愛」がどこまで持つのか?ほとんど数時間で消えそうに思えるのだが・・・・
まぁ、「愛」自体が種族保存の本能であるわけで、そう思えばこの形もアリなのかもしれない。