eiganoTOKO

アタメのeiganoTOKOのネタバレレビュー・内容・結末

アタメ(1989年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

アルモドバル監督のほかの映画で描く強く独立した女像がわりと好きでした。
アタメの前情報なく、監督シリーズとして何気なく鑑賞したけど、こんなに不快になるとは…油断した…!

この映画は性的被害経験をもつ人は観ない方がいいかも。フラッシュバックもあるだろうし、結末に血管ブチ切れの可能性大。
あるいは傷つくかもしれない。
私は痴漢された経験は何度もあるけどレイプ被害や家宅侵入はありません。でも前半の内容と、絵面のポップさのギャップで頭が回らなくて気持ち悪くなりました。


ストックホルム症候群の原因は「犯人が意外といい人だった」からではなく、極度の緊張状態に追いやられ死と直面したときに起こる、保身のためのマインドコントロール。
つまり最悪の事態を避けているのが最低条件で、そこに潜む小さな幸せにすがり犯人と共感する、という「健気イデオロギー」に自ら染まる、せつなくてどうしようもない人間の生き残りをかけた本能なのだ。
鑑賞後「リッキーが意外といい奴」というのは本当に本当に最悪の感想で、現実の事件でこの言葉を被害者にかけることはあってほしくない。
最近誘拐事件でおなじように「犯人のことを好きになっちゃったんじゃない?」とネットで見かけて心配になった…
それは決してロマンチックな事ではないんだ。

というか、そんな実はいい人ってほどでもなくリッキーふつうに最悪だから。
女をブン殴り家に押し入り、クスリを他の女から強盗して(しかもちゃっかり痴漢もして)「お礼は?」
え〜!!!
「絶対愛さない」と言われたとベソをかき、「わがままで手を焼く女だ」
え〜〜!!??

これのどこがチャーミングなんだよ。
一途ってゆうかストーカー。

強盗&痴漢した女たちから暴行され(ざまあ)、傷だらけで帰宅し、天涯孤独アピールしたらあっさりマリーナが落ちたけど、単なるストックホルム症候群だから悲惨ですよ。
歪んだ愛だなんだとギャースカ言うPTA的に保守的な批判ではなく、暴力はダメだし、姉ちゃんも殺されてたかもしれないんですが?

ポルノ女優だからって、天涯孤独を理解するとも限らないし、かなり偏見。

他の作品を考えるとアルモドバル監督って強烈なマザコンだと理解しました。
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