ジュライ

Vフォー・ヴェンデッタのジュライのレビュー・感想・評価

Vフォー・ヴェンデッタ(2005年製作の映画)
4.1
もし『オペラ座の怪人』のファントムがディストピアの独裁国家で政権転覆を目論むテロリストになったら、みたいなSF。
ファントム以上に人は殺してるけど、でもVのほうが紳士。仮面を取ろうとしたイヴィーのことも、そっと窘めるだけだし。ファントムはクリスティーヌに仮面取られてガチ切れしてましたよね。

この手のストーリーだと結末が容易に想像できちゃうけど、結果ではなく過程を楽しむタイプの話だからまあそれは良し。
ある意味紋切り型だからこそ、先を予測することに頭を使わずに済み、風刺について考えるゆとりもあるわけだし。

結局Vの素顔も素性も生い立ちも一切出さないままなのが巧い。そのへんの情報を少しでも出せぱVの存在が虚構内の個人に収斂してしまって、ラストのイヴィーの台詞に結びつかなくなってしまうから。
あの仮面はVが自分を隠す意味もあるけれど、メタ的に、現実世界の誰もがそこに自分の顔をフィットさせられる、すなわち彼の理念を世界中に敷衍させられる装置にもなってるってことですね。

イヴィーがVの家で着てる服の多くは色合いこそグレーとかカーキばっかで地味だけど、ネックラインが綺麗なものが多くて、そこばっか見てしまった。
Vネックの服が多かったのは「V」と掛けてるのかしら。

あと爆破&花火のシーンは『キングスマン』の生首花火を思い出しました。
風流だなあ。
ジュライ

ジュライ