チッコーネ

なつかしの庭のチッコーネのレビュー・感想・評価

なつかしの庭(2006年製作の映画)
3.0
韓国の民主化運動に青春や命を捧げた人々のための、ラブストーリー。
イム・サンス監督は1980年代後半に20代前半という年齢だったので、ど真ん中の世代ということになる。
『天安門、恋人たち』の韓国版のような内容かな…?、と予想していたが、ノスタルジアが全編を包み込むジェントルな作風だった。

光州事件そのものを描く韓国映画は多いが、本作のメインキャラクターはその後も7年続いた軍事政権の世で、難を受けている。
また南北分断後の韓国で、単なる民主運動家ではなく社会主義者であることを標榜する複雑さに、感じ入った。
背に腹は代えられぬとは言え、独り身の若い女が男を匿い、即ねんごろになってしまうのに驚いたが、案外そんなこともあったのかもしれない。

主人公が娘に電話をする際、背景ごと浮遊していく場面は、どのように撮ったのだろうか。
ヨム・ジョンアに充てられたスタイリングが、垢抜け過ぎているのはご愛敬。