実在したノーベル経済学者であるジョン・ナッシュの半生を描いた物語。
序盤は数学者としての彼の功績が称えられ、研究に没頭する青年期から国家の陰謀に巻き込まれる中盤までミステリーの様相を帯びています。が、ある場面を起点に観る側の目線がガラリと変わる仕掛けがあります。
そこからは総合失調症との戦いとそれを献身的に支える妻の姿を描いた美しいヒューマンドラマであり、全体を通じてたくさんの要素が何層にも重なった作品です。劇中では特に「beautiful mind」という言葉が引用されておらず、それがまた人間讃歌として多くの意味をもたらしています。
事実とは異なり美化されてる箇所が多いらしいですが、それでもなお感動的なラブストーリーであると共に精神疾患に対する見方を啓発する意義のある名作です。
また映画自体とは関係ありませんが、ナッシュ夫婦の悲劇的な末路も今となってはこの作品に奥行きを与えています。
（「レクイエム・フォー・ドリーム」と同じ締めになりますが）この時代のジェニファー・コネリーは本当に美しい。
