カプチンバード

ビューティフル・マインドのカプチンバードのレビュー・感想・評価

ビューティフル・マインド(2001年製作の映画)
4.7
見ていて辛かった。でも奥さんのアリシアに救われた。
大学時代に頭を悩ませてきた、あのゲーム理論の、あのナッシュ均衡!の、あのジョンナッシュの物語。

何度説明されても分からないけど、今回の映画の説明で唯一わかったのは、
「ヤることが目的でバーで女の子に声をかけるなら、一番人気のブロンドを狙えば、互いが邪魔しあい、ブロンドにありつけない。唯一、そのお友達を狙うことで、お友達からの反感を買わず、ブロンドを奪い合わず、みんながみんなヤれる!」
つまり、
「諸君!アダムスミスは間違っていた。
最良の結果は『個人が自分のためにベストを尽くした時』ではなく、『全員グループのため、かつ、自分のために動いた時』に得られるのだ。これが支配力学だ。」
これを話す時のラッセルクロウは今まで見てきた中で、一番かわいい。

ゲーム理論の根幹をなすナッシュ均衡の考えは、オークションで市場の価格崩壊を防ぎ自分の利益を最大化する時、独禁法の合理的な判断、サッカー日本対ポーランドの終盤のパス回し戦術…いろいろな場面で応用され、ジョンナッシュはノーベル経済学賞を受賞した。

映画にはいくつもの感動の場面がある。
ナッシュ均衡を発見する時、初めての「友達」ができた時、アリシアにプロポーズする時、アリシアがナッシュの病気と付き合うと決めた時、「友達」との別れ、本当の友達との友情、ノーベル賞を告げられた時、ペンの伝統、そしてノーベル賞スピーチ。

いくつもの障害を支えたのはアリシアで、「博士と彼女のセオリー」や「イミテーションゲーム」のような結末が来てしまうのではないかと、嫌な予感しかしなかったけど、アリシアの言葉に見てるこちらまで救われた。

ナッシュがアリシアにプロポーズするシーンでナッシュは「根拠がほしい」と言う時、アリシアはこう問答する。

「宇宙の広さを教えて」
「無限大だ。全てのデータが示している。」
「でも証明されてない。見たこともない。どうしてそうわかるの?」
「…わからないが、そう信じてる」
「愛情も同じだと思う」

…もう、しびれるね( ; ; )

彼女はそれからどんな障害があろうと、結局ナッシュを信じた。本当にありがとう。
ナッシュも心底、それに応えた。ありがとう。

当時の医療では統合失調症を薬事療法で克服しようとした。LGBTに対してもそうだった。ストレスからの逃避によってできてしまった幻覚に対して、薬で押さえ込もうとしていた。でもそれでは病気に対抗できても、生活は守れない。

ナッシュはとても優しくて、心底愛情があった。だからアリシアも彼を見ると付き合った初めの頃を思い出した。
外界との接触や社会の理解や愛情によって、乗り越えてくれたことで、この素晴らしい才能が世界に認められた。

学校教育でもこういう病気に対する説明や眼差しを説明するべきだよなと思ったよ。
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