チッコーネ

肉体女優殺し 五人の犯罪者のチッコーネのレビュー・感想・評価

3.7
浅草のストリップ劇場で発生する殺人事件という、監督ならではの煽情的な設定にワクワク。
中国雑技団並みに柔軟なフランス座の現役ダンサーらを起用したダンス場面も、要所に登場する。
グラマラスな肢体を活かす三原葉子は、冒頭から吹き替えなしのダンスを披露。
天井より吊られたクリアボックスの中で繰り広げる演目場面もあり、カメラは上方から下方から、幻想的な媚態をダイナミックに捉える。
また天地茂が三ツ矢歌子をしごくレッスン場面では、サイケな編集術も登場…、この時代には珍しくがっしりとした体躯の宇津井健は、爽やかな印象を振りまく。
かようにフレッシュな新東宝スターが揃うほか、『第三の男』か『夜歩く男』ばりの下水道チェイス場面も。
脚本がやや偶然に頼り過ぎるきらいはあるが、盛りだくさんで期待に違わぬ一本だった。
直接的な言及はないものの、悪の根城である精肉場は、真犯人の猟奇的な嗜好を匂わせているようで怖い。