湿疹

怒りの葡萄の湿疹のレビュー・感想・評価

怒りの葡萄(1940年製作の映画)
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パワフルでショックな展開のなかで、風景にポツンとあり少しずつ移動する人間や車の寂寥感に胸がいっぱいになった。土地を奪われ、これまでの人生に否応なしに別れを告げ、行く先も全く定まらない、初めから強制された旅ですら、旅立ちの瞬間には祝祭感があり、他人の助けが信じられている。植物のように生まれた土地に根を張った老人たちはその土地を離れた瞬間に養分を失い息絶えてしまう。若さはどこにでも歩いていって養分を得られる力なんだな。巨大資本が支配する腐った社会では、求人広告に嘘が書いてあるだとか暮らせる賃金が支払われてないだとか、ごく当たり前の事実を言っただけで左翼扱いされるのにも心当たりがある。別に暴力革命するとか言ってるわけじゃないのにね。国法の保護下なのに企業が労働者に対して謎の治外法権敷いてるのは百貨店とか駅ビルの従業員への扱いと一緒。本質的なことじゃないが、ソ連映画ばっかり観てるとトラクターが悪者として出てくるのが新鮮だった。
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